これから簿記2級の勉強を始めようと考えている人に向けてのお話です。
簿記2級とは合格率平均25%の試験である‥
これだけを聞けば、だいたい20〜30%位の試験かなと思うのが一般的な感覚でしょう。
ところが実際は第100回以降の試験で
下は‥■ 141回 (2015,11,15) 11.8% 157回 (2021,2,28) 8.6%
上は‥□ 133回 (2013,2,34) 47.6% 146回 (2017,6,11) 47.5%
というようにかなりの上下幅のある試験になっています。
平均的な過去の合格者から言わせていただければ、40%を超えて合格できるような試験になると、資格の価値を考えるとあまりいい気はしないし、
何よりも、これから試験に臨む人からすれば、かなり運に左右される試験である事は否めません。
勉強するに当たっては、この辺りをはっきりと理解した上で始める必要があります。
結論から言えば、簿記2級に合格するための必勝法は
難しい回に当たった時でも合格点を上回るだけの準備をして試験に臨む事です。
もくじ
こんなにメジャーな試験なのに!?
なぜこれほどまでに合格率にばらつきがでてしまうのか?
一応そのカラクリを説明しておきます。
資格試験は大きく分けると2種類に分かれます。
一つは基本情報技術者に代表される絶対試験と言われるもので合格する点数があらかじめ決められていてそれをクリアすれば合格するというもの。
もう一つは宅建士に代表される相対試験と言われるもので概ね合格する人数が決められていてその人数の中に入れば合格するというものである。
そして簿記の試験は前者の絶対試験に入ります、
さらに言えば、問題数もあまり多くないため、
難しい問題が出ると一気に平均点が下がりその結果、合格率が下がってしまいます、
逆に、易しめの問題が出ると一気に平均点が上がりその結果、合格率も上がってしまいます。
というわけです‥
個人的には、少し相対試験の要素を取り入れたハイブリッド型にして、少し調整を加えたらいいのにとも思うのだが、CBTの導入もあってかなり複雑になるのでおそらくは現状維持でしょう‥
これからますますAIの時代になり、かなり時代の波にさらされる資格だと思うので、もっと受験者ファーストの資格への改革を期待します。
〔 具体的な戦略 〕

本試験の構成ですが全部で5問(百点満点)で3問(60点)が商業簿記、2問(40点)が工業簿記になっています。
先に目標とする点数を言いますと商業簿記の方が40点、工業簿記の方も40点の合計80点です(根拠は商業簿記の方が難易度がかなり高いからです)、これを目指す勉強をして結果的に失点を合計30点までにおさえて合格する作戦です。
全くの初学者が勉強する場合はまず簿記3級(商業簿記)から始めます、既に3級の勉強が終わっている方も3級を取ってから時間が経過している場合は復習を兼ねて3級の勉強から始めることをお勧めします‥(実際に勉強を始めるに当たっては簿記用の電卓が必要です)
時系列でいくと次のような流れで進めていきます。
- 簿記3級完成期
- 工業簿記・基礎力養成期
- 商業簿記・基礎力養成期
- 工業簿記・実力養成期
- 商業簿記・実力養成期
- 完成期
〈 簿記3級完成期 〉
まず簿記3級のTEXTと問題集1冊ずつ用意
- TEXTを読み進む。
- 項目ごとに問題を解いていく。
- 間違えたところに印をつけ復習。
- ①〜③を最後まで繰り返す。
- 印の問題を解く。
- 問題だけを全て解く。
- 間違えたところに印をつけ復習。
- 正答率が95%になるまで⑥〜⑦を繰り返す。
〈 工業簿記・基礎力養成期 〉
まず工業簿記2級のTEXTと問題集を1冊ずつ用意する。
- TEXTを読み進む。
- 項目ごとに問題を解いていく。
- 間違えたところに印をつけ復習。
- ①〜③を最後まで繰り返す。
- 印の問題を解く。
- 問題だけを全て解く。
- 間違えたところに印をつけ復習。
- 正答率が80%になるまで⑥〜⑦を繰り返す。
工業簿記に関しては本番での得点源にしなければならない科目ではあるが、概ね理解できれば次の商業簿記に進む。(ここで100%にする必要はない)
〈 商業簿記・基礎力養成期 〉
まず商業簿記2級のTEXTと問題集を1冊ずつ用意する。
- TEXTを読み進む。
- 項目ごとに問題を解いていく。
- 間違えたところに印をつけ復習。
- ①〜③を最後まで繰り返す。
- 印の問題を解く。
- 問題だけを全て解く。
- 間違えたところに印をつけ復習。
- 正答率が70%になるまで⑥〜を繰り返す。
商業簿記2級に関しては「税効果会計」や「連結会計」などの難問に関してはなかなかすぐにはマスターできないと思うのでまずは一旦飛ばしてできるところだけを回していく、区切りをつけて工業へ進む。
〈 工業簿記・実力養成期 〉
工業簿記2級の過去問題集(商業簿記2級と共通)を追加で用意する。
基礎力養成期で使用した問題集の間違えたところ、あやふやなところを復習する。
そのあと過去問を解いていく。
- 本試験1回分の工業簿記の問題だけを解く。
- 間違えたところに印をつけ復習。(あやふやなところはTEXTに戻って復習する)
- 過去問題集全部の工業簿記の問題を全てやる(①②を繰り返す)‥正答率が95%になるまで復習する
工業簿記に関しては得点源にしなければならないので漏れのないように全ての項目を完成させること‥これが合格への道である。
〈 商業簿記・実力養成期 〉
基礎力養成期で使用した問題集の間違えたところ、あやふやなところを復習する。
この段階では以前とばしてきた難問と言われる問題も仕上げていかなければならない‥問題を解く時もまずは答えを見ながら答えを入れていくところから始めてもいい。
とにかく全くお手上げの項目だけは作ってはいけない‥
もしこの段階で連結会計などの難問がどうしても攻略できない時は受験校の講習を取ることをお勧めします、回を重ねるごとに難問の数も増えていますので避けては通れませんし、結局この理解度がそのまま合格率に直結します:スタディング 簿記講座
一旦終わらせて過去問に進む。
- 本試験1回分の商業簿記の問題だけを解く。
- 間違えたところに印をつけ復習。(あやふやなところはTEXTに戻って復習する)
- 過去問題集全部の商業簿記の問題を全てやる。(①②を繰り返す)‥正答率が95%になるまで復習する。
〈 完成期 〉
ここまでくれば大体自分の実力と言うか自分の弱点も分かってくるはずです‥
難問がなければ運よく合格できるレベルまででとどめるか、少なくとも過去問の難問が出た時には全て解ける上位合格者レベルまで仕上げるかはあなた次第だがこの辺りから先は時間がかかるのも事実だ。
仕上げは一応時間を計って予想問題をやってみて弱点のチェックをしていく‥
予想問題では一喜一憂しないこと‥あくまでもこんなところは気を付けろよというアドバイスととらえよう。
最終的には試験本番でケアレスミスをしないよう気を付けて実力を出し切ることに集中すること
〔 まとめ 〕

今回は「簿記2級必勝法で合格するために取るべき基本戦略のお話でした
ここまでくれば大まかな勉強の流れは理解いただけたかと思います。
簿記2級は数ある資格の中でもかなり使える道具なので末長く大事にしてください。
運に翻弄されることなく”実力で”合格しましょう!
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